現在の段階では、人間の脳のすべての仕組みが完全に解明されているわけではありませんが、意識には顕在意識(けんざいいしき)と潜在意識(せんざいいしき)の2つの側面が存在することは広く知られています。

顕在意識は私たちが意識的に認識している思考や分析、判断などを担当しており、左脳で主に働いています。
一方、潜在意識は右脳で働き、記憶や想像力、感情を司っています。

上の図のとおり、潜在意識が私たちの思考のほとんどを占めているのです。

そのため顕在意識が前向きな考え(頑張るぞ!)を持っていても、潜在意識が否定的な感情(やっぱり無理)を抱いている場合、そのバランスは潜在意識の方へ傾いてしまいます。

潜在意識は『記憶、感情、イメージ』の3つが融合し形づくられています。
人によって潜在意識は異なるものであり、体験したすべての出来事や感情が、自己評価や行動に影響を与えていきます。

ポジティブな思いを伴う記憶は自信を与え、やる気や笑顔、他人に対する優しさを引き出し、ネガティブな感情は不安や苦しみ、時には憎しみや怒りなども引き起こします。

これらのネガティブな感情はとてもパワーを持っていて、日常生活のさまざまな場面で私たちを振りまわし影響を与えます。
たとえば、SNS上での攻撃的なコメントひとつが、ポジティブなコメントすべてを覆い隠してしまうこともあります。

そしてこのようなネガティブな感情は、いくら頭で解決しようと思っても、潜在意識の根本的な問題を解決しなければ難しい場合が多いのです。

それは、自我の門番である「クリティカル・ファカルティ」と呼ばれる存在が顕在意識と潜在意識の間で見張りをしているためです。
「クリティカル・ファカルティ」は、17〜18歳までに完成すると言われており、経験や感情を自分なりの解釈で潜在意識に蓄めていきます。

この門番は目が覚めて活動中している間は、潜在意識へのアクセスを厳しく制限してきます。
そのためヒプノセラピーでは「クリティカル・ファカルティ」を一時的に休ませ、潜在意識へアプローチします。